Lake Mary – And The Birds Sing In Chorus First

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フランス人作家Mathias Van Eeclooが運営するEilean Rec.は、アーティスト/作品の充実度は勿論、デザイン、特にフィジカルフォーマットに心惹かれるレーベルである。Wist RecやTime Released Soundなど作品ごとに特殊な意匠を凝らすレーベルと比するなら、Eilean Rec.のオフホワイトのボール紙製デジスリーブはオーソドックスに見えるが、シンプルなタイポグラフィ、カバーアート、ステッカー、隅々まで行き届いて いてその姿形は美しい。限られたプレス数も望む人の手に余すことなく渡り、確実に愛聴盤の一枚になる、スモールプレスのよい形を表しているようだ。

スリーブに貼付されたシール紙には架空の島(「Eilean」はアイルランド・ゲール語で「島」の意)の地図が描かれ、そこに100の地点が小さなポイントと番号が打たれている。Eilean Rec.のリリースはこの地図に基づいて進行し、作品にはいずれか1地点があてられ、作家はその土地の音を任せられることになっている。CDの封を解くと、中から自然物が入ったボトルの写真があらわれるが、ボトルに入った土や葉、木の実、鳥の羽根などは、作家が普段生活している身近な場所から採取されたもので、このサンプルもまた、地点ごとの環境の一部を示す演出となっている。作品が島のありようを形成してゆく。全てのリリースが揃うまで、偶然性に導か れながら完成形の想像できないパズルを埋めてゆくようなプロジェクトである。

「And The Birds Sing In Chorus First」は、8月8日にリリースされたレーベルの最新作。地図上では南東地方の内陸、12番のポイントに位置し、ボトルの写真には枯れた草や花が見える。作者はコロラド生まれのギタリスト=レイク・メアリー。フォーク/カントリーにミニマルな要素や実験的な風を吹き込む、現在post-folkと呼ば れる新しい感性を持つ作家のひとりで、これまでScissor TailやPlanted Tapesから作品を発表している。2011年から今年にかけて、コロラド、カリフォルニア、ユタ、ノースダコタでホームレコーディングされた今作では、 前作におけるノイジーなドローンはやや影を潜め、より淡く潤んだアコースティック/フィンガーピッキングの響きと、弦の間を縫う静かな時の情趣を主調に。 伝統の土壌から青々とした枝葉を伸ばす若木の精気に満ち、また老木のような哀愁も帯びたルーツギター・イントゥルメンタルの好作に仕上がっている。

Lake Mary – Facebook / Bandcamp

text by Fujii